「クラウドPBX」と「IP電話」はどう違う?役割・特徴などを徹底解説

「クラウドPBX」と「IP電話」の違いについて、明確に答えられない方も多いのではないでしょうか。どちらもインターネット技術を使った電話サービスである点は共通していますが、実際は役割が異なる別物です。

本記事では、クラウドPBXとIP電話の違いや関係性がよく分からない方のために、それぞれの違いについて解説します。

クラウドPBXってIP電話なの?

「クラウドPBX」と「IP電話」は、それぞれポジションが異なります。

まずクラウドPBXとIP電話の違いと、混同される理由について解説します。

クラウドPBXとIP電話は「役割」が異なる

クラウドPBXは「システムを制御するための『装置』」、IP電話は「電話を行うための『手段』」であり、両者は異なるものです。

クラウドPBXとIP電話は、どちらも「インターネット技術を使った電話に関するサービス」であることは共通しています。

クラウドPBXは電話回線・電話機・付加サービスを含め、電話システム全体の運用を、クラウド上で運用するものです。「従来のビジネスフォンシステムをクラウドにアップしたもの」と考えるとイメージしやすいでしょう。

一方IP電話は、あくまでも「電話回線」のひとつです。インターネットプロトコル(IP)を利用し、音声通信を行う通話サービスのことを指します。

クラウドPBXとIP電話はそもそもの役割が異なりますが、その一方で上記の図のとおり、パソコンとインターネットのように切り離せない関係でもあるのです。

クラウドPBXと立ち位置的に対比できるのは「ビジネスフォン」

前項でお伝えしたとおり、役割が異なるため、クラウドPBXとIP電話は比較対象になりません。

立ち位置でクラウドPBXと対比できるものに、「ビジネスフォン」が挙げられます。なぜなら、ビジネスフォンは「オンプレミス型PBX」とも呼ばれ、クラウドPBX と同じく、PBXに分類されるからです。

ちなみに、「オンプレミス」とは、サーバーやソフトウェア等を施設内で物理的に設置・運用するものを指します。そのため、インターネット上で運用を行う物理的な“物”が無い「クラウド」と、よく比較されます。

クラウドPBXとビジネスフォンは機能や導入時の難易度、コストなどは異なるものの、どちらも電話システムであることは共通しています。

なぜクラウドPBXとIP電話は混同されるのか

クラウドPBXは「電話システム」、IP電話は「電話回線」と、それぞれ役割が違うにもかかわらず、なぜ混同されてしまうのでしょうか。

それは「クラウドPBXにアクセスするためにはIP電話が必要であり、インターネットを介してお互いが密接な関係であること」が混同される原因だと考えられます。

PBXとIP電話についての詳細は、次の章で解説します。それぞれの特徴を知ることで、違いについてより理解が深まるはずです。

そもそも「PBX」とは何か

クラウドPBXについて解説しましたが、そもそも「PBX」とは何なのでしょうか。2つの違いを明確にするためにも、まずはPBXについて理解を深めましょう。

内線や外線の接続をコントロールするシステム

PBXとは「内線や外線の接続をコントロールする電話システム」を指します。オフィスやコールセンターなど、複数の電話機が必要とされる場所で利用されており、複数の回線を1つにまとめて内線と外線の接続を制御します。

PBXには、外線にかかってきた電話を内線につなぐ機能や、内線通話の発着信を制御する機能があります。

PBXを導入し、オフィス内の電話回線を統合することで、通信環境の整備やコスト削減、業務効率の向上をもたらします。

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「PBX」と「クラウドPBX」の違い

「PBX」と「クラウドPBX」最大の違いは、物理的な装置の有無です。

PBXは物理的な装置を用いて電話機能を提供しますが、クラウドPBXでは装置を用いず、クラウド上から機能を提供します。

他にも、物理的な装置の有無に伴う違いがあります。その違いについて、以下の比較表にまとめましたので、ご覧ください。

 PBXクラウドPBX
音質電話回線を使うため安定しているインターネットを使うため、ネットワークの状態によって音声が不安定になる場合がある
利用規模単独拠点のみ複数拠点で利用可能
コスト【導入時】
主装置の購入・設置・工事費用
【導入後・運用時】
・外線通話料
・メンテナンス費用
【導入時】
回線・サーバーの初期登録費用
【導入後・運用時】
・プロバイダ料
・使用人数や機能に応じた月額使用料
・外線通話料
メンテナンス専門業者に依頼する必要があるベンダー側が行うため、自社でのメンテナンス不要
メリット・クラウド型に比べサイバー攻撃のリスクが少ない
・音質が安定している
・インターネット回線があれば場所を問わず使用可能
・端末の選択肢が広い
デメリット・導入に時間がかかる
・メンテナンスの手間がかかる
・設定変更時には工事が必要
・音質が不安定になることがある
・電話機能に制限がある
・ネットワークセキュリティの対策が必要
カスタマイズ拡張性と自由度は高いものの、工事や設定変更などが必要自由度は低いものの、工事は不要

「IP電話」とは何か

ここまで、PBX・クラウドPBXについて解説しました。ここからは、IP電話について触れていきます。

IP電話は「インターネットを利用した電話サービス」

「IP」は「インターネットプロトコル(Internet Protocol)」を指し、IP電話は、「インターネット回線を利用した電話サービス」を指します。

IP電話の身近な使用例として、下記のサービスが挙げられます。

・050型IP電話(「050」から始まる電話番号の電話)
・LINE電話
・ひかり電話
・Skype
・Zoom
・Facebook Messenger

IP電話の中には、ビデオ通話も可能なものがあり、さまざまなサービスやアプリで用いられています。

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厳密には異なる「IP電話”機”」とは

「IP電話」と「IP電話機」は混同されがちですが、「IP電話」とは「IP電話“回線”」のことを指し、「IP電話機」は、IP電話を使用して通話を行う「電話機」を指します

IP電話機の種類は、固定電話機だけではありません。スマートフォンやノートパソコンもアプリをインストールすることによって、IP電話機として利用することが可能になります。

IP電話とアナログ回線の違い

従来の電話回線に「アナログ回線」がありますが、IP電話とはどのような違いがあるのでしょうか。

IP電話とアナログ回線の大きな違いは、接続する回線です。IP電話は「インターネット回線」へつなぐのに対し、アナログ回線は「物理的に存在する電話回線」に接続します。

 IP電話アナログ回線
接続方法インターネット回線電話回線
同時通話数1~数百回線1回線
通話料国内であれば距離に関係なく一律距離によって異なる
音質デジタル化に変換されるため安定しやすい発信先までの距離が遠くなるほど不安定になりやすい
セキュリティデジタル化により暗号化されるため盗聴されにくい暗号化されないため盗聴されやすい

アナログ回線では物理的な電話回線を通して音声そのものを届けます。一方IP電話では、音声を一旦デジタルデータに変換し、インターネット網を通します。そのデータを音声に復元することで、固定電話と同じような通話を可能とします。

IP電話の利用には、クラウドPBX以外の選択肢もある

IP電話の利用には、クラウドPBX以外の選択肢もあります。ここではその選択肢について、解説します。

クラウド型と違い設備の用意が必要な「IP-PBX」

選択肢のひとつに、「IP-PBX」が挙げられます。

IP-PBXはクラウドPBXと同じく、IP電話を利用して通話を行いますが、大きな違いは、オフィス内に装置を設置することです。

IP-PBXには、機器を設置する「ハードウェアタイプ」と、サーバーにソフトウェアをインストールする「ソフトウェアタイプ」の2種類があります。

IP-PBXはオフィス内に設備が必要になるものの、クラウドPBXと比べてインターネットの状態による影響が少なく、稼働が安定していることがメリットです。

IP電話をスマホで利用できる「スマホ内線PBX」

スマートフォンも、IP電話機として利用できます。「スマホ内線PBX」という仕組みを導入すれば、スマートフォンを会社電話として使用できます。

スマホを内線化することで、外出先でも、社内との内線通話や、会社の電話番号を使って取引先との外線通話が可能になります。

クラウドPBXやIP-PBXなど、利用中のPBXを残して導入することも可能です。

スマホ内線PBXなら「どこでもホン」がおすすめ

どこでもホン

スマホ内線PBX「どこでもホン」は、スマホをIP電話機として利用できます。社内社外を問わずスマホから、内線通話と、会社の電話番号を利用した外線の発着信が可能となり、テレワークを実施している企業や、外出の多い仕事には、大きなメリットをもたらします。

興味がある方には「どこでもホンの事前導入相談」をおすすめします。スマホとIP電話を活用したベストな通信環境をアドバイスします。

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まとめ)「クラウドPBX」は制御装置、「IP電話」は電話回線|どちらかだけでは意味が無い!

クラウドPBXとIP電話は「インターネット技術を使った電話に関するサービス」であることは共通していますが、「クラウドPBX」は制御装置、「IP電話」は電話回線であり、2つが揃っての通話が可能になります。

クラウドPBXやIP電話はIT技術の進化により生まれた新しいものです。現状変更に抵抗はあるかも知れませんが、本記事を読んでメリットを感じたら、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

「どこでもホン」も、皆さんがお持ちのスマホを活用して会社電話を便利に使えるようにします。今や私たちの生活にとって切っても切り離せないスマホ。普段の業務をより便利で効率良くするため、ビジネスフォン導入や買い換えを検討中の方はぜひ「どこでもホン」をご検討ください。