「フロア内の配線をすっきりさせたい」「PCを電話機として用いたい」などの理由で、会社電話機をLAN環境に統合したいと考えている人は多いでしょう。
この記事では、会社電話機をLANで利用するために必要なもの、導入の方法や注意点、費用の目安を紹介します。
1)会社電話機をLANで利用するためにはIP電話機と対応する主装置が必要
「会社電話機は、電話用のケーブルで電話回線に繋ぐもの」と思っている人は多いでしょう。
実は会社電話機は、LANケーブルや無線LANで電話回線に繋ぐことも可能なのです。
会社電話機をLANで利用するには、LAN環境とIP電話機、そしてIP電話機対応の主装置が必要となります。
IP電話機とは
IPは「Internet Protocol(インターネットプロトコル)」のイニシャル、そしてIP電話機は、そのIPの技術を利用した電話機を指します。
IP電話機では、屋内の配線にLANケーブルや無線LANを用いて通話を行います。
また、IP電話機の端末は、従来の固定電話機だけではありません。
ソフトフォンアプリをインストールすることでPCやスマホを、IP電話機として利用することもできます。
IP電話機対応の主装置とは
主装置とは、会社電話機に必要な、複数外線の利用や内線通話、保留転送を可能にする小型の交換機のことです。ビジネスホンの様々な機能は、この主装置の働きによるものです。
主装置の形態は大きく以下の3つが挙げられます。
- ビジネスホン・PBX
- IPビジネスホン・IP-PBX
- クラウドPBX
このうち、IP電話に対応した形態はIPビジネスホン・IP-PBXとクラウドPBXです。
LANケーブルで会社電話機を利用するためには、IPビジネスホン・IP-PBXかクラウドPBXを導入する必要があります(IPビジネスホン・IP-PBX、クラウドPBXの詳細については後述します)。
「いま利用している会社電話機の主装置が、IP電話機対応か分からない」場合は
「いま利用している会社電話機の主装置が、IP電話機対応か分からない」場合は、購入した販売店や、ビジネスホンの専門業者に確認してみるとよいでしょう。
IP電話機はリリースされて既に15年ほど経ちますので、気付かずに「IP電話機に対応できる主装置を使っている」ことも十分にあり得ます。
ただし、たまたま今使っている主装置がIP電話機対応のものでも、LANケーブルで電話機を接続するためには多くの場合、主装置に別途オプションユニットが必要となります。また主装置の機種ごとに、接続できるIP電話機の機種も限られています。
主装置とIP電話機の組み合わせについては、必ず専門家に相談してください。
LANにWi-Fiを接続することで、スマホを会社電話機として利用できる
IP電話機を導入しているオフィスでは、多くの場合LANにWi-Fi機器を接続して、スマホを会社電話機として利用しています。
固定電話機と違い、オフィスのどこにいても自分の内線番号が利用でき、レイアウトの変更や部署の異動の際も、新たな配線や設定は必要ありません。
2)会社電話機をLANで利用するメリットとデメリット
ここからは、会社電話機をLANで利用するメリットとデメリットについて見ていきましょう。
会社電話機をLANで利用するメリット
会社電話機をLANで利用するメリットは、大きく以下の3つがあります。
- 社内のケーブルをLANに統合できる
- PCとスマホをIP電話機として利用できる
- CTIやCRMとの連携が可能になる
社内のケーブルをLANに統合できる
オフィスのレイアウト変更の際、電話用ケーブルとLANケーブルの配線整理に苦労した事はありませんか?
会社電話機をIP電話機に切り替え、配線をLANケーブルに統合する事で、そうした負担は解消できます。
またLANにWi-Fi機器を接続すれば、LANケーブルの配線も最小限のものとなり、オフィスの美観は更に向上します。
LANケーブルは、汎用性があり「自分たちでメンテナンスしやすい」という点もメリットでしょう。
PC・スマホをIP電話機として利用できる
先述の通り、LAN環境とIP電話機対応の主装置(IPビジネスホン・IP-PBXまたはクラウドPBX)があれば、PCやスマホを、IP電話機として利用することができます。
PCやスマホは、ソフトフォンアプリをインストールする事でIP電話機となり、会社電話機として利用する事が可能になります。
ソフトフォンについては、以下の記事で詳しく紹介しています。興味のある人はあわせてご確認ください。
CTI・CRMとの連携が可能になる
CTIは、電話・FAXとコンピュータを統合する技術、CRMは顧客関係管理を実現するシステムです。
IP電話機では、CTIやCRMとの連携が可能になります。
CRMの顧客情報画面からダイレクトに、CTIで連携されたIP電話機から発信する事ができ、また着信の際は通知された電話番号から、自動的にそのお客様の情報を画面に立ち上げる事が可能になります。
会社電話機をLANで利用する際のデメリット・注意点
- 無線LANは電波状況が音声品質を左右する
- LANのトラブルで電話が使えない
無線LANは電波状況が音声品質を左右する
IP電話機は、次の3つの接続方法のいずれかを利用します
- 1 有線LAN
- 2 無線LAN(Wi-Fi )
- 3 4G/5G/LTE通信網
有線LANは多くの場合、ネットワークの制御が為されており、通信速度を一定レベルに維持できるため、音声品質にほとんど問題はありません。
一方、無線LANは、Wi-Fiの電波状況が通信速度を左右し、音声品質に影響を及ぼします。利用者の混雑や、Wi-Fi機器と利用場所の距離や位置により、音声の途切れや通話の遮断が発生する場合があります。
無線LANを利用する場合は、必ず専門家の意見を参考にして、Wi-Fi機器の機種や台数、設置場所を決めてください。
4G/5G/LTE通信網も、電波状況が音声品質に影響を及ぼす事がありますが、無線LANよりも安定しています。
給電が必要
IP電話機にはバッテリーを持つものと持たないものがあります。バッテリーを持たないIP電話機である場合は、以下の2つの方法のいずれかで給電させることが必要です。
- 1 ACアダプタ
- 2 給電HUB
電話用ケーブルを利用した電話機の場合は、電話用ケーブルに流れる微弱な電流で動作させることができるため別途、給電は不要です。この点は、IP電話機のデメリットの1つといえるでしょう。
LANのトラブルで電話が使えない
IP電話機は配線を社内のLANと統合するため、電話機や主装置、電話回線に何の問題がなくても、LAN側のトラブル(機器の障害、ケーブルの差し間違い、ネットワークの混雑等)で通話に支障をきたす場合があります。
LANのトラブルで会社電話機が不通となるリスクを回避するため、PC用のLANとIP電話機用のLANを、それぞれ独立させて組むケースもあります。
3)会社電話機をLANで利用する方法とそれぞれの費用目安
会社電話機をLANで利用するためには、次のいずれかのPBXを導入する必要があります。
- IPビジネスホン・IP-PBXの導入
- クラウドPBXの導入
IPビジネスホン・IP-PBXの導入
IPビジネスホン・IP-PBXは、IP電話機をLANケーブルに繋いで利用する会社電話機です。
また社有のスマホは、IPビジネスホン・IP-PBXの電話機として利用することもできます。
従来のビジネスホンやPBXと同じ操作で使えるため、スムーズに導入を進めることができます。
IPビジネスホン・IP-PBXの費用目安
初期費用目安 | 電話機本体(1台につき):2万円~3万円 ※1 主装置:5万円~10万円 ※2 工事費:10万円前後 |
月額費用目安 | 基本利用料:5,000円~2万円 ※3 |
※1~2:新品を想定した価格です。
※3:別途、電話回線の基本料金や通話料金が発生します。
初期費用として、電話機やスマホ端末の購入費と工事費が発生します。
すでに社有しているスマホを電話機として利用すれば、主装置と工事費のみの初期費用、合計20万円程度で導入が可能です。
従来のビジネスホンと比べ、初期費用を抑えられる事がIPビジネスホン・IP-PBXのメリットです。
一方、月額費用はユーザー数やオプション機能によって変動するので、注意が必要です。
IPビジネスホン・IP-PBXのおすすめ販売店
オフィス電話本舗
電話機や主装置だけでなく、サーバーやセキュリティシステム、LAN工事も合わせ、IP-PBXの構築をワンストップで提供しています。 アフターサービスも充実しており、導入後も安心して利用できます。信頼性と安心感を重視したい人におすすめです。
株式会社日本オフィスソリューション
アフターフォローが充実しており、問い合わせやトラブルの対応を24時間365日で受け付けています。 オフィスの移転や電話機の増設にも対応しています。サポート体制が充実している事業者を選びたい人におすすめです。
これからIP電話機の導入を検討している方は、IP-PBX/IPビジネスホンの「どこでもホン」がおすすめ
「電話の配線とLANを統合したい」「IP電話機を導入したい」「スマホを会社電話機として使いたい」。
そうした理由でIPビジネスホン・IP-PBXの導入を検討されている方は、スマホ内線PBXの「どこでもホン」もおすすめです。
どこでもホンは、20,000台を超える導入実績を持ち、月額7,900円から手軽に使えるIP-PBXです。
スマホを会社電話機として利用でき、オフィスだけでなく、外出先や自宅でも、内線通話と外線通話ができます。
転送や保留も、従来のビジネスホンと同じ並びのスマホ画面のボタンから、同じ操作で使えるため新たな難しさはありません。
遠隔操作によってライセンス情報や共通電話帳、発着信履歴などのデータを消去できるため、スマホの紛失や盗難による、情報漏洩リスクの備えも万全です。
クラウドPBXの導入
クラウドPBXは、主装置をオフィスではなく、クラウドサーバに設置する会社電話機です。
オフィスに主装置を設置しないため、初期費用を抑えられる点が大きなメリットです。
またクラウド上に主装置を置くことで、インターネットを経由した複数拠点間の内線通話が可能です。
ただしクラウドPBXは、「050局番の番号しか使えない」「一般的な市外局番(03・06等)の電話番号を利用するためには、別に環境を構築する必要がある」場合があります。
特に「今の電話番号を継続して利用する」事を前提に導入を検討している方は、必ず専門家に確認してください。
クラウドPBXの費用目安
初期費用目安 | 電話機本体(1台につき):2万円~3万円 ※1 初期設定費:0円~10万円 |
月額費用目安 | 基本利用料:3,000円~+1アカウント(ユーザー)につき500円~1,000円 通話チャネル(同時通話数):1チャネルあたり0円~1,000円 電話番号数:1番号あたり0円~1,500円 ※2 |
※1:新品を想定した価格です。
※2:別途、電話回線の基本料金や通話料金が発生します。
クラウドPBXはオフィスに主装置を設置しないため、初期費用を抑えられる事がメリットです。
すでに社有しているスマホを電話機として利用すれば、初期設定費0万円程度で導入が可能です。
ただし月額費用は基本利用料に加え、ユーザー数や回線数に応じて利用料が発生します。
IPビジネスホン・IP-PBXと比べて月額費用が高くなる場合がありますのでご注意ください。
クラウドPBXのおすすめ購入先
MOT/TEL
20内線までなら月額3,980円〜と、業界最安値級でクラウドPBXを提供している事業者です。 月額費用をできるだけ抑えてビジネスホンを導入したい人、小規模な事業所でのクラウドPBX導入を検討している人におすすめです。
BIZTELビジネスフォン
他社と比べてプランが細分化されており、必要な内線番号数や同時通話数に応じて柔軟に活用しやすいクラウドPBXです。 事業のフェーズに合わせた、柔軟なプラン変更が可能な事業者を選びたい人におすすめです。
まとめ) 会社電話機をLAN環境で利用するメリットは大きい。自社に最適な組み合わせを
会社電話機をLAN環境で利用すれば、「オフィス内のケーブルをLANに統合できる」「PCやスマホをIP電話機として利用できる」「CTIやCRMと連携ができる」など、様々なメリットを享受できます。
一方、導入には機器の費用や環境の構築、サービスの利用料金等、コストと手間が発生します。 ぜひこの記事で触れたメリットとデメリットをご参考いただき、自社に最適なLAN環境と会社電話機の組み合わせを検討してみてください。