PBXと主装置の違いとは?機能やコストなどの違いをわかりやすく解説

「PBX」と「主装置」の違いについて、明確に答えられない方も多いのではないでしょうか。どちらも企業の電話システムを構築するための機器ですが、仕組みや特徴、機能、コストなどには大きな違いがあります。

本記事では、PBXと主装置の違いについて、仕組みや機能、価格相場といったさまざまなポイントに沿って解説します。

PBXとは?主装置とは?

まずPBXと主装置のそれぞれの仕組みや特徴、共通する機能について解説します。

PBXとは

PBX(Private Branch eXchange)は、企業内の電話交換機を指す用語です。複数の電話回線を集約し、内線同士の接続や外線と内線の接続を制御します。

外部からの着信があった場合、内線を通じて複数の電話機を鳴らすことができます。また、内線で通話する場合は、電話局を介さず別の電話機につなぐため、通話料金も不要です。

また後述するIP-PBXやクラウドPBXでは、 社内のパソコンと接続することによって、多種多様な機能を活用できます。スマホを連携して、内線電話として利用することもできます。電話システムがインターネットでつながっているので、複数拠点の内線化も実施可能です。

PBXには、レガシーPBX、IP-PBX、クラウドPBXの3種類があり、それぞれの主な特徴は以下の通りです。

名称主な特徴
レガシーPBX・オフィスに専用機器を設置する必要あり
・外部からの電話があった場合、内線を通じて複数の電話機を鳴らすことができる
・内線利用の際は通話料不要
IP-PBX・IP電話機を社内ネットワークにLANでつないで使用
・社内LANが整備されている場合、初期費用を抑えることができる
・複数拠点の内線化が可能
クラウドPBX・PBXの機能をクラウド上のサーバーが担う
・電話線工事やLANが不要で、初期費用を抑えることができる
・運用開始までの期間が短い
・複数拠点の内線化が可能

主装置とは

主装置は、ビジネスホンの外線と内線を制御して各電話機に振り分け、複数の受発信を管理する機器です。「ユニット」と呼ばれる基盤によって、内線・外線の設定や機能のカスタマイズと追加を行うことができます。種類は、接続できる電話機の台数と収容できる回線数に応じて分けられています。

オフィスの規模に合わせて「小規模向け」「中規模向け」「大規模向け」などと分かれ、小規模向けだと台数は10台前後で回線数も10回線程度、大規模向けになると台数も回線数も3桁を越えます。

PBXと主装置の共通点

PBXと主装置の共通している機能は、以下の通りです。

• 同一回線を複数の内線電話機で共有
• 外線の受発信
• 内線同士の通話・転送

PBXと主装置の3つの違い

PBXと主装置の具体的な違いについて、3つの観点から解説します。

1.接続可能な端末数

PBX主装置
数百台~数千台数台~数百台

PBXの場合、製品・サービスによっても接続できる電話機の台数は異なりますが、一般的には数百台~数千台まで接続できます。大規模拠点や複数拠点を内線化して、社内の電話ネットワークを構築することが可能です。

主装置の場合は、PBXに比べて規模が小さく、接続できる電話機は数台~数百台程度となります。社員数が数名~数百名で、複数拠点を持たない企業の電話ネットワークを構築する場合に適しています。

2.機能

PBX主装置
・発着信の制御
・保留機能
・転送機能
・短縮機能
・スマホ、パソコンとの接続
・別拠点の内線化
・パーク保留機能
・通話モニター機能
・着信代理応答機能
・IVR機能
・スマホ連携機能

PBX・主装置ともに、メーカーや製品ごとに機能が異なりますが、ほぼ全ての製品に搭載されている基本的な機能には、発着信の制御と保留機能などがあります。

これらの機能の中でも、「スマホ連携機能」はリモートワークの普及に伴って急速にニーズが高まっています。従来パソコンやスマホとの連携は主にPBXで備える機能でしたが、現在はオプションとしてスマホとの連携機能を備える主装置が増加しています。

3.システムの安定性

PBX主装置
比較的安定している
システムダウンの影響を受けないことも多い
システムダウンの影響を受ける

主装置は、電話システムがダウンすると使えなくなります。

一方のPBXは、システムを二重化することによって、1つのシステムがダウンした場合でも稼働し続けることができるというメリットがあります。

またPBXは、内蔵バッテリーを増設することで、停電時も数時間の稼働が可能です。

PBXと主装置の価格相場

PBXと主装置の導入にはどの程度の費用が必要なのでしょうか?

【PBX】種類別価格相場

初期費用から運用コストまで、PBXの導入に必要な各費用の相場を、レガシーPBX・IP-PBX・クラウドPBXの種類別に紹介します。

レガシーPBXの価格相場

レガシーPBXの価格相場は、数十万~数百万程度です。

専用機器の価格に加えて設置工事費用も発生するため、初期費用が高くなります。レガシーPBXはこれまで数多くの企業に導入された実績がありますが、新たな種類のPBXの出現を受けて、ニーズは低下傾向にあります。

また、事業拠点ごとにPBXを設置する必要があるため、拠点数によってPBXの台数と初期費用が変動します。

IP-PBXの価格相場

IP-PBX機器本体の価格相場は数十万~数百万程度です。

IP-PBXの初期費用は、接続する端末数や回線容量、利用する機能などに応じて変動します。大容量や高機能な製品は、初期費用は高額になります。

IP-PBXはインターネット回線を使うため、導入後の運用コストとして回線費用が発生します。また、インターネット回線を提供するプロバイダが定めた月額基本料も必要になります。

クラウドPBXの価格相場

クラウドPBXは、インターネット環境とパソコンさえあれば、無料~数万円程度の少額な初期費用で導入することができます

月額費用の相場は、数千円~数万円程度です。多くのクラウドPBXサービスでは、保守管理費用やサポート費用が、月額費用に含まれています。

クラウドPBXの大きな特徴は、機器設置や配線工事の費用が不要であることです。メンテナンスの必要もないため運用コストの低減も実現できます。

【主装置】種類別価格相場

主装置の種類別価格相場をまとめたのが、下の表です。

種類価格相場
新品小規模向け約20万円~
中規模向け約25万円~
大規模向け約30万円~
中古品約数千円~

主装置の価格は、接続できる電話機の台数と収容できる回線数が増えるほど高くなります

中古の主装置は低価格で購入できる点が魅力ですが、新品と比べて故障のリスクが高くなり、部品の供給が終了して部品交換ができないこともあります。中古で購入する際には、年式や製品保証、アフターサポートなどを十分に確認しましょう。

PBX・主装置を選ぶ際の3つのポイント

PBXや主装置を選定する際に重視すべき、3つのポイントについて解説します。

1.接続する電話機の台数

PBXや主装置の導入を検討する際には、現状の電話使用状況や今後の事業拡大も想定して、製品・サービスを選ぶことが重要です。基本的には、100台以上の電話機を接続するケースでは、PBXを選ぶことをおすすめします。

2.必要な機能と利用形態

内線と外線それぞれの利用頻度や通話の主な目的、電話を利用する場所や状況などを明確にし、自社に必要な機能を絞り込むことが重要です。

電話システムの利用形態や必要な機能を明確にすることで、ニーズや条件に合致した製品・サービスを選定しやすくなります。

たとえばリモートワークを推進している企業であれば、スマホとの連携機能を持った製品・サービスの導入を検討すべきでしょう。

3.導入・運用コスト

初期コストと運用コストの両方を比較検討した上で、コストパフォーマンスの高い電話システムの導入を検討しましょう。

導入の際には、初期費用に加えて、運用コストやメンテナンス費用などについてもチェックする必要があります

まとめ)導入目的を具体化させた上でPBXや主装置を選定しましょう

本記事では、企業の電話システムの構築に必要となるPBXと装置の違いをテーマに、それぞれの仕組みや特徴、主な相違点、価格相場、製品・サービスを選定する際のポイントを解説しました。

電話システムに関して社内で課題に直面した際には、ビジネスホンやPBXに精通したプロへの相談をおすすめします。

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