営業活動を効率的に行うために、CRMツールを導入する企業が増えています。
一方で、CRMツールは多くの種類があるため、どれを選ぶべきか迷うケースもあるでしょう。
この記事では、CRMツールを選ぶ際のポイントを解説しています。
それぞれのツールの特徴や活用シーンを具体的にお伝えしますので、ぜひCRMツールの導入検討に役立ててください。
1)CRMツール選びのポイント
CRMツールを導入する際にハードルとなるのは、ツールの選択です。
さまざまなベンダーが多種多様なCRMツールを提供しているため、ユーザーは何を基準に選べばよいのか、迷う事になります。
以下、CRMツールを選ぶポイント3点を参考に、基準を明確にしておきましょう。
- 目的に沿った機能があるか
- 操作画面はみやすいか、また、直感的な操作ができるか
- トライアル(無料お試し)で使ったときの操作感はどうか
①目的に沿った機能があるかをチェック
CRMツールは、それぞれ備わっている機能が少しずつ異なります。
汎用的な顧客管理や問い合わせ管理に関わる機能はほぼすべてのツールに搭載されていますが、ユーザー固有の重要な課題を解決する機能については、その有無をツールごとに確認する必要があります。
適切なCRMツールを選ぶには、まず自社が解決したい課題を明確にしましょう。
下表は、CRMツールを活用する目的と、そのために必要な機能をまとめたものです。
まず自社がCRMツールで何を解決したいのかを明確にし、必要とする機能を絞りましょう。
参考:CRMツールの主な機能
目的 | 機能 |
---|---|
業務効率化 | ・顧客管理 ・問合わせ管理 ・スケジュール管理 ・タスク管理 ・メール配信 ・名刺管理 ・見積・請求書の作成 …等 |
見込み客の獲得 | ・リード管理 ・スコアリング ・シナリオ作成 ・メール文の作成・配信 ・ランディングページやフォームの作成 ・レポーティング・分析 ・広告連携機能 ・その他マーケティング支援 …等 |
見込み客の進捗管理 (「顧客」になるまで) | ・案件管理 ・商談管理 ・営業人員の行動管理 …等 |
売上管理 | ・売上進捗レポート ・KPI指標進捗管理 ・予実管理 …等 |
②直感的な操作をしやすいか
CRMツールのダッシュボードや分析レポートが見やすいか、また、直感的な操作ができるか、といった点も重要です。
たとえば、分析レポートに出力する情報の種類は、豊富であれば役立つとは限りません。
不要な情報が多いと、かえって分かりにくくなることもあります。大枠で全体的な傾向を把握したいのであれば、むしろシンプルなほうが分かりやすい場合もあります。
ダッシュボードや分析レポートは、多くのツールがデモ画面等でサンプルを紹介しています。あらかじめダッシュボードや分析レポートのUIについて、分かりやすさや使いやすさを確認しておきましょう。
③2~3サービスをトライアル(無料お試し)で使ってみよう
CRMツールを本格的に導入する前に、トライアル(無料お試し)を活用してみることをおすすめします。
大半のツールはトライアル期間を設けているため、実際の操作を無料で体験する事ができます。
その際は、CRMツールで実務を行う事が想定されるスタッフに、念入りに触らせてください。
実際に利用するスタッフの率直な使用感を尊重することで、実用性の高いツールを選ぶことができます。
トライアルするツールが1つだけでは、比較対照ができず、適切な判断ができないことも考えられます。
少々手間はかかりますが、複数のツールでトライアルを行い、自社に最適な選択を行ってください。
トライアル(無料お試し)中に確認すべきポイント
- 必要とする機能の有無
- 操作性
- UI・UXの分かりやすさと使いやすさ
- サポート体制
CRMツール導入の際は、あわせてスマホ内線化の検討を
現在多くのCRMツールでは、スマートホンの連携も可能です。
できれば会社電話の「スマホ内線化」も、済ませておいた方がよいでしょう。
スマホ内線化とは、営業スタッフ等が社外で使用するスマートホンを、会社電話として利用できるようにすることです。
スマホ内線化のサービスはいくつかありますが、おすすめはVPN接続による安全な通信が可能な、フォーバルテレコムが提供する「どこでもホン」です。
どこでもホンは、これまでのビジネス用の電話と違い、スマホが主役の電話サービスです。
会社電話をスマホで受信・発信することはもちろん、オフィスにいる社員との内線通話やスマホ内線同士の通話も無料。スムーズな業務コミュニケーションが期待できる、DXを推進する電話サービスです。
テレワーク推進や働き方改革に役立つさまざまな機能は、下記の公式サイトよりご確認いただけます。
2)厳選おすすめCRMツールをタイプ別に紹介
実績が豊富なCRMツール…「Salesforce Sales Cloud」「Zoho CRM」「SanSan」
Salesforce Sales Cloud
提供会社 | 株式会社セールスフォース・ジャパン |
主な特徴 | ・国内トップシェアのCRMプラットフォーム ・顧客・見込み顧客管理から売上予測まで充実した機能を搭載 ・自社に必要なアプリケーションの構築・開発が可能 |
月額料金(税別) | Essentials:3,000 円 / ユーザー Professional:9,000 円 / ユーザー Enterprise:18,000 円 / ユーザー |
トライアル(無料お試し) | あり |
サービスサイト | https://www.salesforce.com/jp/products/sales-cloud/overview/ |
2000年に日本法人が設立されて以来、5,000社を超える導入実績を誇る国内トップシェアのCRMツールです。
営業やマーケティングはもちろん、カスタマーサポートにも活用できる豊富な機能を備え、その中から自社に必要な機能を取捨選択して利用できます。
また、会計や人事管理の領域で活用できるアプリを開発するためのプラットフォームも提供しており、CRMツールに留まらない拡張性の高さが、多くのユーザーから支持されています。
10名程度のチームで活用できるEssentialプランから、大規模な組織を想定したEnterpriseプランまで、幅広く企業規模に対応している点も大きな特徴。他社の導入実績や、充実した機能を重視したい企業におすすめです。
Zoho CRM
提供会社 | ゾーホージャパン株式会社 |
主な特徴 | ・世界25万社で導入されている豊富な実績 ・必要な項目を手軽に追加できる操作性 ・カスタマイズ性の高さ ・営業アシスト機能を標準装備 |
月額料金(税別) | スタンダード:1,680円 / ユーザー プロフェッショナル:2,760円 / ユーザー エンタープライズ:4,800円 / ユーザー アルティメット:6,240円 / ユーザー |
トライアル(無料お試し) | あり |
サービスサイト | https://www.zoho.com/ |
世界25万社で導入実績があり、グローバル規模で活用されているCRMツールです。
自社に必要な項目やタブをドラッグ&ドロップの直感的な操作で追加・編集でき、手軽にカスタマイズできる点が大きな特徴。
CRMツールを初めて利用する人でも抵抗なく使い始めることができます。また、他のツールでは有償オプションとなる、詳細レポートの作成やフォローメールの送信といった機能も、標準装備されています。
10万件までの顧客データを想定したスタンダードプランから、約500万件のデータに対応可能なアルティメットプランまで、幅広い事業フェーズに対応。リーズナブルな料金とカスタマイズを重視したい企業におすすめです。
Sansan
提供会社 | Sansan株式会社 |
主な特徴 | ・名刺データを基盤としたCRMツール ・帝国データバンク提供の企業データベースを標準搭載 ・接点のある顧客企業の最新ニュースや人事異動情報が届く |
月額料金 | 要問合せ |
トライアル(無料お試し) | なし |
サービスサイト | https://jp.sansan.com/ |
名刺管理アプリEightを提供する企業が運営しているCRMツールです。
名刺やメールの署名から取得した企業担当者の情報をデータ化し、一元管理することで、社内の人脈共有に役立ちます。
帝国データバンクが提供する最新の企業データベースを標準搭載しており、既存顧客に関する理解の深化や新規顧客のターゲティングに活用可能です。名刺を基盤とした顧客情報管理をスムーズに実現できます。
前述のSalesforceとの連携オプションも備えているため、商談管理など営業活動に応用することも可能。社内に散在する顧客情報の整理と営業活動への活用を重点的に検討している企業におすすめです。
使いやすさ重視のCRMツール「eセールスマネージャー」「i-CRM」「Senses」
eセールスマネージャー
提供会社 | ソフトブレーン株式会社 |
主な特徴 | ・中小企業に特化したCRMツール ・スケジューラーや名刺管理、社内外SNS機能を標準搭載 ・Web上で質問に答えるだけで初期設定が完了 |
月額料金(税別) | スタンダード:11,000円 / ユーザー ナレッジシェア:6,000円 / ユーザー スケジュールシェア:3,000円 / ユーザー |
トライアル(無料お試し) | なし |
サービスサイト | https://www.e-sales.jp/products/remix/ |
ソフトブレーン株式会社が提供する国産CRMツールです。
ユーザー数の上限を30名としており、中小企業での利用に特化している点が大きな特徴。大規模なCRMツールを必要としない、限られたスタッフ間で顧客情報を共有したい企業におすすめです。
シンプルで直感的な操作が可能なUIが特徴で、CRMツールが初めてのユーザーも、手軽に使い始められます。
また、アフターフォローが充実しており、操作の習熟度に応じて訪問や電話、Webフォームで問い合わせが可能。導入後の定着率が95%という実績があり、メリットを実感している企業が多いことが見て取れます。
i-CRM
提供会社 | アイテックス株式会社 |
主な特徴 | ・CRM・MA・SFAの機能を備えた統合CRMツール ・ユーザー数の規模に応じたプラン設定で、中小企業にも最適 ・1ユーザーあたりの月額料金がリーズナブル |
月額料金(税別) | エントリー(20人まで):29,000円 スタンダード(50人まで):48,000円 プレミアム(51人以上):48,000円+お見積もり |
トライアル(無料お試し) | なし |
サービスサイト | https://www.icrm.jp/ |
顧客管理をはじめ、マーケティングや業務効率化に役立つ機能を統合したCRMツールです。ユーザー数20人までのエントリ−プランもあり、中小企業にも適しています。
クラウドツールや顧客管理に関する専門知識がなくても使いやすく、導入のハードルが低い点が大きな特徴です。
料金はプランごとに固定料金で設定されており、ユーザー数に応じた従量課金のツールに比べ、1ユーザーあたりの利用料金が割安になっています。
初めてCRMツールの導入を検討している企業や、できるだけコストを抑えてCRMツールを活用したい企業におすすめです。
Senses
提供会社 | 株式会社マツリカ |
主な特徴 | ・営業の実務に直結する機能を重視 ・操作性と見やすさにこだわったツール ・グループウェアとの豊富な連携機能 |
月額料金(税別) | Starter:27,500円から Growth:110,000円から Enterprise:330,000円から |
トライアル(無料お試し) | あり |
サービスサイト | https://product-senses.mazrica.com |
現場ファーストを掲げ、導入後の活用・定着を重視して開発されたCRMツール。
ダッシュボードやレポートが見やすく、また、直感的な操作で案件管理もでき、初心者にも扱いやすい点が特徴です。
GmailやGoogleカレンダーといった各種グループウェアとの連携機能も豊富で、手軽に情報を一元化できます。また、案件ボードを活用すれば、営業担当者ごとの進捗状況や行動実績等を一覧化することも可能です。
Starter、Growth、Enterpriseの3プランが用意されており、少人数での利用にも柔軟に対応している点もメリットの1つ。扱いやすさと機能性のバランスを重視してCRMツールを選びたい企業におすすめです。
タスク管理等の業務効率化と併用できるCRMツール「kintone」「Knowledge Suite」
Kintone
提供会社 | サイボウズ株式会社 |
主な特徴 | ・グループウェア導入実績6万社を超える企業が運営 ・自社に必要なCRMツールを手軽に構築できる ・メールワイズとの連携によりメール履歴の一元管理も可能 |
月額料金(税別) | スタンダードコース:1,500円 / ユーザー ライトコース:780円 / ユーザー |
トライアル(無料お試し) | あり |
サービスサイト | https://kintone.cybozu.co.jp/ |
グループウェアの豊富な導入実績で知られるサイボウズ株式会社が提供する、業務の効率化に重点をおいたCRMツールです。
サンプルをベースに、自社に必要な機能を揃えたCRMツールを手軽に構築できます。
メール履歴共有ツール「メールワイズ」と連携すれば、スタッフ間で顧客管理に必要な情報を効率よく共有することができます。
初期費用は無料で、1ユーザー単位で利用できます。基本機能を備えたライトコースと外部サービスとの連携機能が充実しているスタンダードコースが用意されており、いずれもメール・電話によるサポートが付きます。
業務の効率化を目的にCRMツールの導入を検討している企業におすすめです。
Knowledge Suite
提供会社 | ナレッジスイート株式会社 |
主な特徴 | ・CRM・SFA、グループウェアが搭載された統合型ツール ・段階的に機能を増やす場合も追加料金なしで対応 ・ユーザー数が無制限のため利用者の追加にも柔軟に対応可能 |
月額料金(税別) | グループウエア:10,000円(ID数:無制限/容量:10GB) SFAスタンダード:50,000円(ID数:無制限/容量:5GB) SFAプロフェッショナル:80,000円(ID数:無制限/容量:50GB) |
トライアル(無料お試し) | あり |
サービスサイト | https://ksj.co.jp/knowledgesuite/ |
顧客管理や営業支援はもちろん、グループウェア機能もオールインワンで搭載された統合型ツールです。
豊富な機能を備えています。まず当面、必要な機能だけで利用を始めて、のちに段階的に機能を追加する場合でも、追加料金は発生しません。
Knowledge Suiteはユーザー数が無制限。利用する社員が増えても料金は変わらないため、長期的な運用計画が立てやすい事も特徴です。
1つのツールで顧客管理や営業支援を実現したい企業や、成長フェーズにある企業は導入を検討してみるとよいでしょう。
その他チェックしておきたいCRMツール「Synergy!」「HubSpot CRM」「CollaboOne」
Synergy!
提供会社 | シナジーマーケティング株式会社 |
主な特徴 | ・BtoC向けのCRMツール ・購買履歴の管理やクーポン利用実績などの顧客行動を一元管理 ・ステップメール・LINE配信やWebアンケートにも対応 |
月額料金(税別) | 初期費用 118,000円 データベース / フォーム(基本機能):15,000円〜/月 その他メール配信、アンケートは別途費用 |
トライアル(無料お試し) | なし |
サービスサイト | https://www.synergy-marketing.co.jp/cloud/synergy/ |
BtoBに主眼を置いたCRMツールが多い中、Synergy!はBtoCに特化している点が大きな特徴です。
顧客の属性情報を100項目まで設定でき、購買行動を詳細に把握できます。また、ステップメールやLINE配信、Webアンケートができる機能も搭載。
メール配信やアンケート作成は、必要な場面で、追加料金を支払うことで利用できます。顧客情報の管理から施策の実施までワンストップで対応可能なツールです。
MAの要素が強いツールのため、販売・マーケティング戦略の強化にCRMを役立てたいと考えている企業におすすめです。BtoCに適したCRMツールを探している企業は、Synergy!を検討してみてはいかがでしょうか。
HubSpot CRM
提供会社 | HubSpot Japan株式会社 |
主な特徴 | ・簡易的な機能は無料で利用できる ・世界120ヶ国以上で15万社以上の導入実績 ・無料ツールから有料ツールへの段階的な移行がしやすい |
月額料金 | 無料 MA・SFA機能を利用する場合は別途料金が発生 |
トライアル(無料お試し) | なし |
サービスサイト | https://www.hubspot.jp/ |
HubSpot CRMは無料で利用できる、簡易的なCRMツールです。
世界120ヶ国以上・15万社以上という豊富な導入実績が、このCRMツールの実用性を立証しています。
無料版でも100万件の情報を保存でき、利用期間も限られていません。レポート出力等のMA・SFA機能は有料となりますが、まず試験的に無料でCRMツールを導入し、自社に必要な機能を確認しながら、将来的にはマーケティング支援につなげたい、そんな企業におすすめです。
CollaboOne
提供会社 | 株式会社フォーバルテレコム |
主な特徴 | ・顧客・受注管理、料金計算、請求、収納代行までワンストップでクラウドで提供 ・バックヤード業務の自動化で、業務コストを削減 ・組織管理や閲覧範囲の制限等、業務に合った権限設定が可能 |
月額料金(税別) | for Sales(営業支援)3,980円 for Mangagement(業務管理)4,980円 for Billing(請求管理)20,000円 |
トライアル(無料お試し) | あり |
サービスサイト | https://www.collabo-one.jp/ |
CollaboOneは、東証スタンダード市場上場企業の株式会社フォーバルテレコムが提供するCRMツールです。
見込情報の管理から収納代行まであらゆる業務を一元管理・自動化することで、大幅な業務効率改善と生産性向上に役立てることができます。
販売店や商流の階層に合わせて商品・サービスを管理する事や、部署や代理店ごとに顧客・契約データの閲覧範囲を制限する事など、業務に合わせた様々な設定が可能です。
10IDから利用でき、様々な機能を組み合わせたセットプランも用意されています。まずは必要な機能を相談し、その上で見積もりを取ることをおすすめします。
まとめ)自社の目的や用途に合ったCRMツールを活用しよう
今回紹介してきた通り、それぞれのCRMツールの特徴や機能は、多種多様にわたります。
導入実績が豊富で有名なツールでも、自社の目的や用途に合っていなければメリットはありません。
まずは自社でCRMツールを利用する目的を明確にしましょう。その上でそれぞれのツールの特徴や機能を確認して、導入を検討してください。
CRMツールを有効に活用して、顧客管理やマーケティング戦略にぜひ役立ててください。