ソフトフォンとは?ビジネスホンの電話機を使わずにPCで会社電話をする方法

電話設備の入れ替えや増設を検討中の企業にとって、「ソフトフォン」は有力な選択肢の1つです。

今回は、ソフトフォンを会社電話として利用する方法や、メリットとデメリットについて解説します。

無料で使えるソフトフォンも紹介しますので、ぜひ電話設備を検討する際に役立ててください。

  

1)ソフトフォンは、PC・スマホにインストールして使える電話機能

  

はじめに、ソフトフォンの基本的な仕組みについて簡単に確認しておきましょう。

ソフトフォンとは、PC・スマホに専用のソフトウェア(ソフトフォンアプリ)をインストールする事で、インターネット回線を利用した通話ができる、電話機能のことを指します。

電話機は不要で、PCにイヤホンマイクやヘッドセットを接続して通話します。

  

実は、ソフトフォンはすでに広く利用されています。

スマートフォンの「LINE」アプリで無料通話ができる「LINEコール」や、PCでビデオ通話ができる「Skype」も、ソフトフォンの一種です。

インターネット回線を利用するため、同じソフトフォンの間では通話料はかかりません。ただし固定の電話回線や携帯の電話回線を経由する通話の場合は、料金が発生します。

導入する前に、主な用途やサービススペックを確認しておきましょう。

  

2)ソフトフォンを会社電話として利用するために必要なこと

  

ソフトフォンを会社の電話として利用するための要件に、下記の4点が挙げられます。

  • インターネット環境
  • IP-PBXまたはクラウドPBX
  • PC/タブレット/スマホ および ソフトフォンアプリ
  • イヤホンマイク/ヘッドセット/USBハンドセット

  

ソフトフォンを会社電話として利用するには、インターネット環境と、いまの電話番号をソフトフォンで使うための、IP-PBXもしくはクラウドPBXが必要になります。

また電話機として使うPCやタブレット、スマホにインストールするソフトフォンアプリ(詳細は後述)が必要になります。

IP-PBX・クラウドPBXとは

PBXとは、会社電話に必要な、複数外線の利用や、内線、保留転送を可能にする仕組みを指します。

PBXにはいくつか種類があり、そのうちインターネット回線を利用するものがIP-PBXとクラウドPBXです。

両者の主な違いは、PBXの機能を果たす「主装置」の設置場所です。

主装置をオフィスに設置するものがIP-PBX、クラウドサーバーに設置するものがクラウドPBXとなります。

  

これからソフトフォンと一緒にIP-PBXやクラウドPBXを検討している方は、以下の記事もぜひチェックしてみてください。

  

3)ソフトフォンの主なメリットと活用方法

  

ソフトフォンを利用する主なメリットと、具体的な活用方法について見ていきましょう。

   

     

電話機の購入費や工事費が不要

ソフトフォンはPCを電話機として用い、また、PCに接続しているLANを電話配線として用います。よって導入の際は、電話機の購入や電話配線の工事は不要となります

今までの電話設備の導入に比べると、大幅に初期費用を抑えることができます。

  

クラウドPBXを併用すれば、自宅や外出先でも、会社の電話番号で発着信ができる

クラウドPBXを併用すれば、自宅や外出先でも、持ち歩いているPCやタブレットを使って会社の電話番号で発着信ができるようになり、リモートワークが容易になる事も、ソフトフォンのメリットの一つです。

また無線LANが備わったオフィスでは、身近に持ち歩くノートPCやタブレットにインストールされたソフトフォンアプリで、社内のどこにいても内線通話や外線通話が可能になります。

オフィスのレイアウトを変更する時も、電話配線や内線番号の割り振りを気にかける必要はありません。

このように場所を問わずに会社電話を使える事が、クラウドPBXとソフトフォンを併用する大きなバリューとなります。

  

CTIとCRM、ソフトフォンを連携することで、顧客対応業務の効率が大幅に上がる

CTIは、電話やFAX、コンピュータを統合する技術を指し、CRMは顧客関係管理を実現するシステムを指します。

CTIとCRM、ソフトフォンを連携することで、顧客対応業務の効率を大幅に上げる事が可能になります。

CRMの顧客情報画面からダイレクトに、CTIで連携されたソフトフォンから発信する事ができ、また着信の際は通知された電話番号から、自動的にそのお客様の情報を画面に立ち上げる事が可能になります。

これまでの、発信の際に電話番号を検索する動作や、お客様との通話中に過去の履歴を検索する動作を、大幅に省く事ができます。

顧客対応業務の改善を考えている方は、CTIとCRM、ソフトフォンの連携を検討してみてはいかがでしょうか。

  

4)ソフトフォンのデメリット・注意点

ソフトフォンにはメリットだけでなく、デメリットもあります。

ソフトフォンを導入する際の注意点として、こちらも確認しておきましょう。

  

  

通話品質はインターネット環境に依存する

ソフトフォンの音声品質は、動画配信等の他のインターネットサービスと同じく、用いているインターネット回線の環境に左右され、不安定になる場合があります。

またソフトフォンの配線にWi-Fiを用いているオフィスでは、電波の干渉や減衰によって音声品質が顕著に低下する場合もあります。

音声品質の低下で通話の中身が相手に伝わらない事は、取引先やお客様の信用を損ねる事になり、業績に影響を及ぼす事も考えられます。

ソフトフォンを導入する際は、使用するインターネット回線やWi-Fi機器を、十分に検討してください。

  

セキュリティリスクが発生する場合も

ソフトフォンはインターネット回線を使用するため、セキュリティレベルによっては盗聴のリスクが伴います。

ここで言うソフトフォンの「盗聴のリスク」とは、音声そのものを聞き取られる事ではなく、インターネット回線のセキュリティホールから音声パケットを抜き取られ、再生されてしまう事を指します。

この盗聴を防ぐには、音声パケットの「暗号化」が必要になります。

ソフトフォンを選ぶ際は、「暗号化」のスペックを必ず確認しましょう。

また、ソフトフォンと併用するIP-PBXもしくはクラウドPBXの選択も、同様に「暗号化」のスペックをチェックしておくことが大切です。

  

PCは常にインターネットに接続しておく必要がある

会社電話はその「着信」の重要性から、電話回線と電話機は常に接続されていなければなりません。

したがってソフトフォンを会社電話として用いる場合は、PCとインターネット回線の常時接続を確保しておく必要があります。

PCの電源を切っている状態やノートPCを閉じている状態では、LANを経由したソフトフォンの着信に応対する事ができません。PCを常に「ON」の状態で身近に置いておくことが難しい場合は、スマホでソフトフォンを利用することをお勧めします。

  

5)無料でダウンロードして利用できるソフトフォンアプリ4選

ソフトフォンアプリには、無料でダウンロードして利用できるものがあります。

まず無料版を試した上で、合うものがあれば有料版への移行を検討すればよいでしょう。無料版があるソフトフォンアプリのおすすめ4選を紹介します。

  

X-LITE(Bria Solo)

サービス名X-LITE(Bria Solo)
提供企業名CounterPath Corporation(カナダ)
料金プラン・X-LITE(Bria Solo Free):無料
・Bria Solo:2.95ドル/月
公式サイトhttps://www.counterpath.com//bria-solo/  

X-LITE(Bria Solo)は、カナダのCounterPath社が提供するソフトフォンアプリです。

ソフトフォンの黎明期から広く知られてきたブランドであり、直感的な操作が可能な見やすいユーザーインターフェースと、動作の安定性に定評があります。

無料版のBria Solo Freeのほか、有料版ソフトフォンのBria Soloを提供。無料版でも基本的な電話機能は一通り使えるので、ソフトフォンの導入を初めて検討する企業にもおすすめです。

  

Zoiper(ゾイパー)

サービス名Zoiper
提供企業名Attractel(ベルギー)
料金プラン・Free:無料
・Biz:49.95ユーロ/月
公式サイトhttps://www.zoiper.com  

前出のX-LITE(Bria Solo)と並んで高い人気を誇るZoiper。

シンプルなインターフェースと豊富な機能を備え、ビジネスシーンで幅広く利用できます。

スマホ用のモバイル版は無料、PC用のデスクトップ版は有料(非営利目的かつ基本機能のみ利用の際は無料)になります。

まず無料版で音声品質や機能を試した後、有料版への移行を検討していくとよいでしょう。

有料版はFAXの送受信や会議通話もでき、通話以外の多彩な用途を求める企業におすすめです。

  

3CX VOIPフォン(スリーシーエックス)

サービス名3CX VOIPフォン
提供企業名3CX(キプロス)
料金プラン・STARTUP FREE:無料
・STARTUP PRO:175ドル/年
・DEDICATED PRO:295ドル/年
・DEDICATED ENTERPRISE:330ドル/年
(※10ユーザーの場合の料金)
公式サイトhttps://www.3cx.jp/voip-phone/softphone/  

Windowsで動作するPBXの老舗、3CXが提供するソフトフォンアプリ。

PC版・スマホ版ともに基本的な電話機能を無料版で一通り利用できるため、初めてソフトフォンの導入を検討する企業にもおすすめです。

PBXの開発を本業とする3CXが提供するソフトフォンアプリなので、スムーズなIP-PBXやクラウドPBXとの連携が可能です。

コールセンターに特化した機能も充実していますので、顧客対応業務の改善を考えている企業には、検討の価値があります。

  

Express Talkソフトフォン

サービス名Express Talkソフトフォン
提供企業名NCH Software(オーストラリア)
料金プラン・コーポレート版:195ドル
・ビジネス版:129ドル
※非営利目的であれば無期限で無料利用が可能
公式サイトhttps://www.nch.com.au/talk/jp/index.html  

ビジネスソフトをはじめ、オーディオやビデオ編集関連のソフトの開発と販売を手がけるNCH Software社のソフトフォンアプリ。

保留や履歴発信、短縮ダイヤル機能付きの電話帳、緊急通報用番号(110番、119番等)への発信など、従来の固定電話と同等の基本機能を備えています。

Windows版・Mac版が提供されており、幅広いIT環境で利用することができます。

  

スマホを会社電話として利用したい場合は「どこでもホン」がおすすめ

ここまでソフトフォンについて解説してきましたが、スマホを会社電話として利用する事を優先する場合は、「どこでもホン」も選択肢に加えておくことをおすすめします。

  

どこでもホン

ソフトフォンのデメリットに、インターネット回線を使用する事で、音声品質やセキュリティに懸念が伴う事を説明しました。

一方「どこでもホン」は、通話に安定した携帯電話回線(4G・5G・LTE)と固定の光電話回線を用いるため、インターネット環境による音声品質の低下や、パケットの抜き取りによる盗聴のリスクも、心配する必要はありません。

PCやタブレットは電話機として用いないので、ヘッドセットやソフトフォンアプリも不要です。今の通信環境を大きく変える事なく、すぐにスマホを会社電話として使う事ができます。

速やかなリモートワークの導入を考えている方は、PCを利用するソフトフォンに拘らず、「どこでもホン」も検討してみてはいかがでしょうか。

  

  

まとめ)ソフトフォンの導入はメリット・デメリットの両面から慎重に検討を

ソフトフォンは、今あるPCを電話機として利用するため、導入コストを大幅に抑える事ができます。

一方、通話にはインターネット回線を用いますので、他のインターネットサービスと同様に、音声品質やセキュリティにリスクを孕む事を忘れてはいけません。

ソフトフォンの導入を検討する際は、メリットが自社の用途に見合ったものか、デメリットは許容できる範囲のものか、慎重に判断してください。

この記事で紹介したポイントは、適切な判断のお役に立つと思います。