会社電話にIVR(自動音声応答)を入れるには?導入費用はどのくらい?

会社にかかってくる電話の取り次ぎに追われていませんか?お客様対応の業務では、電話が鳴りっぱなしになっている時間もあるかもしれません。

今回は、電話の受付業務を効率化できる自動音声応答「IVR」について解説します。
会社電話にIVRを入れる方法や導入コスト、メリットとデメリットを紹介していますので、自社で導入を検討する際の参考にしてください。

1)IVRとは

IVRとは「Interactive Voice Response(自動音声応答)」の略称です。

電話をかけた際、「音声案内に従ってご希望の番号を押してください」という音声ガイダンスを聞いたことがある方も多いでしょう。

このように着信した電話に音声ガイダンスを流したり、問い合わせ内容に応じて着信先を振り分ける仕組みを、IVRといいます。

2)IVRでできること

 

IVRでできることは、主に3つ挙げられます。

  • 着信時の窓口の振り分け
  • 混雑時や営業時間外の案内
  • 自動音声発信

  

これらは「IVRのどの機種でもできる」ものではないため、IVRを導入する際は、「会社の課題を解決するためには、IVRにはどんな機能が必要なのか」を定義することが大切です。

これから紹介する機能を参考に、IVRの活用イメージを描いてみましょう。

  

入電時の窓口の振り分け(着信制御)

IVRは、あらかじめ設定したルールに従い、着信した電話の振り分けを行うことができます。

定型的な応答を自動化し、問い合わせの内容に応じて窓口を振り分けることで、電話の取り次ぎやかけ直しを省略することが可能です。

  

機能概要
振り分け用件に応じた番号の選択で、担当部署へ電話を振り分ける。
自動回答よくある問い合わせに対して、音声ガイダンスで回答する。
自動照会自身の登録情報やサービスの利用履歴を、ボタン操作で照会できる。
自動注文商品番号や注文数、届け先等をボタン操作で確定し、商品を注文できる。
応募受付ボタン操作によるキャンペーンへの応募を、自動で受け付ける。

  

混雑時や営業時間外の案内

電話が混み合っている時や営業時間外に、オペレーターに代わりIVRが自動応答します。

混雑時や営業時間外のIVRの応対は、すでに多くの企業が導入しています。

  

機能概要
営業時間外の案内土日や祝日、終業後などの営業時間外の入電に対する、営業時間内にあらためてかけ直してもらうための音声ガイダンス
あふれ呼対策混雑で対応できない入電に対する「ただいま電話が大変混み合っております」「このままお待ちいただくか、のちほどおかけ直しください」等の音声ガイダンス
放棄呼対策所定のコール数に達してもつなぐ事ができない入電に対する、かけ直してもらうための音声ガイダンス

  

自動音声発信

IVRは電話の受付業務だけでなく、発信業務にも利用できます。

リストに基づいて自動処理で電話をかけ、相手が応答したタイミングで音声ガイダンスを流します。

また、相手のボタン操作によるレスポンスを収集することもできます。発信業務向けの主な機能として、次の2種類が挙げられます。

  

機能概要
告知自動音声ガイダンスでセールスやキャンペーン、カスタマーサービスに関する告知を行う。
アンケート調査音声ガイダンスで選択式の質問を行い、ボタン操作による回答を収集する。

  

3)IVRによる最大のメリットは、業務コストの改善

IVRを導入することで得られる最大のメリットは、電話の一次対応にかかるコストの大幅な削減です。

【例】
電話の一次対応が20件/日、事務処理を含めて平均15分/回が削減できた場合
→人件費約0.6人月分(1日5時間、月間100時間)のコストダウンに繋がる

電話対応の工数の削減には、IVRの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

  

IVRの導入メリット

  • 電話業務の負荷の軽減と、人件費の削減
  • 顧客満足度の向上

  

前述の通り、IVRの導入によって電話業務の負荷を軽減し、人件費を削減することができます。

また、IVRの導入によって顧客満足度が向上することも大きなメリットです。

24時間365日の対応が可能となり、営業時間に関する顧客の不満が軽減できます。

簡単な問い合わせは、音声ガイダンスでスピーディに回答する事もできます。このようにIVRの導入は、企業だけでなく顧客にもメリットをもたらします。

  

4)IVRのデメリットは月額費用の発生と導入コスト

IVRには、「オンプレ型」と「クラウド型」の2種類があります。

オンプレ型

IVR専用機をオフィスに設置するタイプ。専用機の購入・設置にコストがかかります。

クラウド型

クラウド上のプログラムがIVRの機能を果たすタイプ。購入と設置の費用は不要、替りに月額費用がかかります。

このようにIVRの導入には、オンプレ型の場合は初期費用、クラウド型の場合は月額費用が発生します。

  

IVRの導入デメリット

  • 月額費用・初期費用が発生する
  • 振り分けの仕方によっては、顧客・社内に不利益が発生する場合も

  

前述の通り、IVRの導入には費用が発生します。導入にあたっては事前に、IVRによって削減可能な業務工数と費用の見合いについて、十分に検証を行ってください。

また、IVRの振り分けの内容によっては、業務の効率化と顧客満足度に不利益をもたらす場合もあります。

よくある例が、振り分け先の説明がわかりづらく、顧客の選択が「その他」に集中する事です。

結果として、「『その他』で顧客を待機させる時間が増える」「『その他』の窓口から専門の部署に取次が発生する」等、逆にIVRによって解決までの時間が増え、顧客の心象を悪くする事が起こっています。

IVRを導入するに当たっては、費用対効果だけではなく、振り分けの内容まで、具体的な想定を行ってください。

  

5)会社電話にIVRを入れる方法

会社電話にIVRを導入するための、具体的な導入方法について解説します。

  

ビジネスホン・PBXにオプションでIVR機能を付加する

ビジネスホンやPBXによっては、IVR機能が搭載されている場合があります。以下のビジネスホンはいずれもIVR機能に対応している機種です。

  

IVR機能対応ビジネスホンの例

αA1(NTT)

  

AspireWX Plus/AspireUX/AspireX(NEC)

     

NYC-X(NAKAYO)

   

PLATIAⅢ(SAXA)

  

ビジネスホンのIVR機能は、ほとんどの場合オプションとして用意されています。価格は5〜30万円程度で、IVR専用機器に比べると割安となっています。

但し、ビジネスホンの機種によって、IVRの機能も異なるので注意が必要です。またIVRのオプション自体が用意されていないビジネスホンもあります。

ビジネスホンやPBXのIVR機能の利用を検討する際には、具体的な用途をビジネスホンの販売店に相談する事をお勧めします。

  

オンプレ型のIVR専用機を導入する

IVRに大量の応答や多目的な用途を求める場合は、オンプレ型のIVR専用機をお勧めします。

IVR専用機は、コストはビジネスホンのオプションと比べて割高になりますが、受付業務および発信業務とも、IVRの機能をほぼ網羅的に装備しています。コールセンターや金融機関等の大規模な事業所では、PBXのIVR機能ではなく、IVR専用機をPBXに接続して利用しています。

ビジネスホンやPBXのIVR機能で対応できない業務がある場合は、IVR専用機の機能を確認してみてはいかがでしょうか?

主なオンプレ型のIVR専用機には、「IVR-2430Ⅱ」が挙げられます。

  

TAKACOM IVR2430Ⅱ

製品名IVR-2430Ⅱ
提供企業名株式会社タカコム
価格6回線(初実装):550,000円
12回線:720,000円 18回線:890,000円
24回線:1,060,000円
※消費税・工事費は別途
公式サイトhttps://www.takacom.co.jp/product/366

かかってきた電話の振り分け、すぐに電話に出られない場合のお待たせガイダンスへの切り替えや転送、タイマーによる自動応答への切り替え、応対結果のデータ集計など、電話受付業務に求められる基本的な機能を備えたIVR専用機です。

高品質の合成音声機能も搭載しており、応対内容を自由にカスタマイズする事ができます。

  

クラウド型のIVRを導入する

初期費用をできるだけ抑えてIVRを導入したい場合や、同時に電話設備の新規導入を検討している場合は、クラウド型のIVRサービスも選択肢の1つとなります。

クラウド型のIVRは初期費用を抑える事ができる一方で、オンプレ型のIVR専用機とは違い、月額費用が発生します。

主なクラウド型IVRの3つについて、サービスの概要や月額費用をご紹介します。

  

電話自動応答サービスIVRy

サービス名IVRy(アイブリー)
提供企業名株式会社IVRy
価格・初期費用:0円
・月額費用:3,300円
公式サイトhttps://ivry.jp

AIによるテキストの自動読み上げや、着信フローの設定等、カスタマイズの自由度が高いクラウド型IVRです。

受付履歴や応答内容の共有機能もあり、応答業務だけでなく顧客管理業務までカバーできます。

月額費用も格安なので、IVRを初めて導入しようとする方は、「IVRy」を検討してみてはいかがでしょうか?
また、コストと機能のバランスを重視したい方にも、「IVRy」はお勧めです。

  

トビラフォンCloud

サービス名トビラフォンCloud
提供企業名トビラシステムズ株式会社
価格・初期費用:33,000円
・月額費用:3,300円(2名で利用する場合)
      29,700円(20名で050番号を使用する場合)
公式サイトhttps://tobilaphone.com/biz/cloud/  

2名から利用できるクラウドIVRです。

オフィスの移転や拠点の開設の際もスピーディな導入が可能です。

スマホアプリも用意されており、在宅でもIVRを利用したオペレーター業務に従事する事ができます。

発着信のヒートマップや通話履歴をデータとして表示するダッシュボードを装備しており、またスマホアプリでは、カレンダーと連携した勤務シフトの設定ができるので、オペレーター業務の効率的なスケジューリングが可能です。

スモールオフィスでIVRの導入を検討している方には、「トビラフォンCloud」がおすすめです。

  

自動受付IVR

サービス名自動受付IVR
提供企業名株式会社電話放送局
価格・初期費用:300,000円〜
・月額費用:150,000円〜
公式サイトhttps://www.dhk-net.co.jp/service/autoreception-system/  

AIによる自動電話応答システムを搭載したクラウドIVRです。対話形式で氏名・住所・注文商品・希望発送日等を受け付け、その情報をSMSに自動送信します。

定型的な受付業務はAIに任せ、定形外の対応のみオペレーターが行う切り分けが可能です。

AIの応答内容や受付データの確認、設定の変更もWeb管理画面から一括で出来ます。「選択型」ではなく「記入型」「対話型」の応対が必要な業務には、「自動受付IVR」がおすすめです。

  

IVR機能を導入した後は、スマホ内線化の導入を検討してみよう

業務コスト削減に役立つIVR機能を導入した後は、最近話題の「スマホ内線化」を検討してみませんか?社内だけでなく、自宅や外出先でも「スマホで会社電話が使える」ことで柔軟な働き方ができるようになる、たいへん評判が高い機能です。IVRで振り分けられた電話もスマホで対応できるようになります。

「どうすればスマホ内線化を実現できるの?」「かんたんにスマホ内線化を実現する方法はないの?」とお考えの方には、フォーバルテレコムの「どこでもホン」がオススメです。

どこでもホン
どこでもホン

累計2万台を超える豊富な導入実績の「どこでもホン」は、かんたん・スムーズにスマホの内線化を実現することを目標に開発した「スマホ内線PBX」という新しいジャンルのサービス。しかも、月額サブスクモデルなので、コストを抑えてスマホの内線化を実現できます。

  

まとめ)IVRの導入は必要な機能と費用のバランスを十分に考慮して検討を

IVRを効果的に活用できれば、大幅な電話の受付業務の効率化と業務コスト削減が可能になります。

一方、IVRの機能は機種によって様々です。機種の選択においては、まずIVRで解決したい業務を明確にした上で、その業務に必要な機能が備わっているか、しっかり確認してください。

今回紹介したポイントを参考に、ぜひ自社にとって最適なIVRの導入をご検討ください。IVRで削減できた電話の受付業務の工数を、より創造的な仕事に振り分けていきましょう。