IP電話とは?押さえておくべき機能と導入時の注意点

「電話回線の見直し」に、「IP電話」は有力な選択肢となります。

今回は、IP電話の基本的な仕組みや種類、また、利用するメリット・デメリットについて分かりやすく解説します。

  

1)IP電話とは

IP電話とは、インターネット回線を利用した電話サービスのことです。

IP電話の歴史は意外と古く、1995年に、まずパソコン同士のインターネット電話として始まりました。その後国内では、2002年に050型IP電話が、2004年にNTT東日本・西日本の0AB-J型IP電話「ひかり電話」が始まりました。

2019年度末には、050型IP電話と0AB-J型IP電話の合算契約数は4413万件と、固定電話の契約数1846万件の約2.4倍になっています(令和2年版・情報通信白書調べ)。

※固定電話:便宜上、本書ではアナログ回線とISDNを指します。

  

IP電話の種類

IP電話は、電話番号の違いによる3つに分類できます。

  

0AB-J型IP電話

「03」や「06」等、一般的な市外局番から始まる、10桁の電話番号のIP電話です。市外局番は電話回線の地域を指定する情報のため、例えば大阪では、「03」から始まる電話番号を利用することはできません。

0AB-J型のIP電話として承認を受けるためには、従来のアナログ電話と同等の通話品質が条件となります。

主な0AB-J型のIP電話には、NTT東日本・西日本の「ひかり電話」があげられます。

  

050型IP電話

050から始まる11桁の電話番号のIP電話です。

市外局番を用いないため、地域の指定を受けずに利用することができます。

050型IP電話は0AB-J型と仕組みや基準が違うため、固定電話と比べて、通話品質が劣るものもあります。

主な050型のIP電話には、NTTコミュニケーションズの「OCNドットフォン」があげられます。

  

電話番号不要型IP電話

電話番号が付与されないIP電話です。

市外局番も用いないため、地域の指定を受けずに利用することができます。

電話番号不要型IP電話も0AB-J型と仕組みや基準が違うため、固定電話と比べて、通話品質が劣るものもあります。

また、同じIP電話サービス同士のみ通話が可能で、固定電話や他のIP電話サービスとの通話はできません。

主な電話番号不要型のIP電話には、「LINE」があげられます。

  

2)IP電話のメリットとデメリット

IP電話のメリット

  

固定電話と比べて通話料金が安くなる

IP電話のメリットの一つが、通話料金の安さです。

固定電話同士の通話は、「市外」や「県外」等、相手との距離に応じて通話料金の単価が上がります。

一方IP電話ではほとんどのサービスで、相手との距離は関係なく、全国一律の通話料金に設定されています。また、同じIP電話サービス同士の通話は無料となるものも多くあります。

固定電話と比べて通話料金が大幅に安くなることは、IP電話の確実なメリットとなります。

  

固定電話と比べて月額基本料金が安くなる

固定電話では、1本の電話回線で可能な同時通話は、最大2つまでとなります。オフィス等でそれ以上の同時通話を行う場合は、複数の電話回線を用意する必要がありました。

一方、多くのIP電話サービスでは、通話に用いるインターネット回線1本で、2つ以上の同時通話を設定する事が可能になっています。オフィス等で利用する場合でも、複数のインターネット回線を用意する必要はありません。

同時通話数の増設は、オプションの月額費用が発生する場合がありますが、固定電話で複数の電話回線を用意するよりも、はるかに低額で済みます。

固定電話で複数の電話回線を利用している場合は、IP電話に切り替える事で月額基本料金も削減できます。

  

PCやスマホをIP電話機として活用することも可能

クラウドPBXやスマホ内線PBXでは、 専用アプリをインストールすることで、PCやスマホをIP電話の電話機として利用することができます。

またこれに加えてIP電話に0AB-J型を用いる事で、持ち運び自由なPCやスマホで、オフィスや外出先、自宅など場所を問わずに、今までの会社の電話番号を利用できるようになります。

IP電話は活用方法によっては、テレワークを促進する事も可能になります。

  

IP電話のデメリット

  

インターネット環境により通話品質が低下する可能性

IP電話はインターネット回線を利用するため、他のインターネットサービスと同じく、回線の通信速度により品質が左右されます。

通信速度の遅延により、音声の不良や通話の途切れ等、通話品質の低下が発生することがあります。

通信速度の遅延による通話品質の低下には、回線の混雑や、LANやWi-Fiのネットワーク環境の問題など、さまざまな要因が考えられます。

固定電話にはない、IP電話特有のデメリットといえるでしょう。

  

発信できない電話番号がある

050型や電話番号不要型のIP電話では、フリーダイヤルや緊急ダイヤル(110番・119番)など、一部の電話番号へは発信できません。

緊急ダイヤルでは警察や消防署が、着信した電話番号により発信者の地域を判断します。そのため、地域と紐づけされない050型や電話番号不要型のIP電話では、接続できない仕組みになっています。

一方0AB-J型のIP電話では、固定電話と同じく市外局番を用いて発信者の地域を紐づけできるため、ほとんどのサービスで緊急ダイヤルへの接続が可能となっています。

発信できない電話番号があることは、間違いなく050型や電話番号不要型のIP電話のデメリットといえます。

  

3)オフィスのIP電話で利用する電話設備

オフィスのIP電話で利用する電話設備には、大きく分けて次の3つのパターンがあります。

ここではそれぞれのパターンで必要なものを、紹介します。

  • ① 家庭用電話機や固定電話専用のビジネスホンを利用する
  • ② IP電話に対応できるビジネスホンを利用する
  • ③ 「スマホ内線PBX」でスマホを利用する

  

① 家庭用電話機や固定電話専用のビジネスホンを利用する

家庭用電話機や固定電話専用のビジネスホンは、そのままではIP電話を利用することはできません。

IP電話は他のインターネットサービスと同じく、音声のデータをIPによってパケット化して通信を行うため、電話の配線にもLANケーブルを使用しますが、家庭用電話機や固定電話専用のビジネスホンの電話機は、音声データをアナログ信号で送受するため、配線には電話用ケーブルを用いています。

ただしこれらの電話機も、インターネット回線との間に「IP電話アダプタ」を接続する事で、IP電話を利用できるようになります。

  

IP電話アダプタとは?

IP電話アダプタは、IP電話のパケット化された音声データと、固定電話のアナログ信号の音声データを、相互に変換する機器です。

  

《IP電話アダプタのイメージ》

インターネット回線のLANケーブルと、固定電話専用の電話機を接続する電話用ケーブルを差し込むことで、IP電話を利用できるようになります。

  

IP電話アダプタを導入する際の注意点

もっとも普及しているIP電話アダプタは、NTTの「ホームゲートウェイ/ひかり電話ルータ」です。

ただしIP電話サービスのサービスによって、利用できるIP電話アダプタも異なります。

また複数の固定電話をIP電話に切り替える際は、IP電話アダプタも複数必要となる場合があります。

IP電話アダプタの導入については、必ずIP電話を提供する電話会社や、電話機の設置業者に相談してください。

  

② IP電話に対応できるビジネスホンを利用する

固定電話で利用しているビジネスホンの中には、オプションとして用意している「IP電話ユニット」を搭載することで、IP電話を利用できるものがあります。

  

IP電話ユニットとは?

IP電話ユニットは、IP電話アダプタと同様の働きをする、ビジネスホンの主装置に内蔵させる基盤です。

  

《IP電話ユニットのイメージ》

IP電話ユニットでは、一枚の基板で複数の同時通話を行うことができます。

複数の固定電話をIP電話に切り替える場合は、IP電話アダプタよりもIP電話ユニットを内蔵したビジネスホンを用いた方が、電話設備のコストを削減できる可能性があります。

IP電話の導入を検討する際は、まずご利用中のビジネスホンにIP電話ユニットのオプションが用意されているか、確認してみてはいかがでしょうか?

  

③ 「スマホ内線PBX」でスマホを利用する

スマホ内線PBX」を導入する事で、スマホをIP電話の電話機として利用することができます。

     

IP電話をスマホで使うなら、スマホ内線PBX「どこでもホン」がおすすめ

IP電話の導入と合わせて、リモートワークの推進も検討している企業におすすめなのが、 スマホ内線PBXの「どこでもホン」です。

  

どこでもホン
どこでもホン

「どこでもホン」では、置き型の電話機だけではなく、スマホもIP電話の電話機として利用できます。

オフィス内だけでなく、外出先や自宅でも、スマホで会社のIP電話を利用した通話ができます。

そのほか、「どこでもホン」の主な特徴は次の通りです。

  • IP電話に標準で対応のため、IP電話アダプタやIP電話ユニットは不要
  • スマホ10台まで追加料金なしで標準接続可能
  • スマホでは4G/5G/LTE方式の安定した環境で通話ができる
  • 月額7,900円のサブスクモデル。初期費用は5万円と安く抑えられる

導入台数2万台突破のスマホ内線PBX「どこでもホン」の詳細は、以下のWebサイトで確認できます。

  

まとめ)IP電話の種類やメリット・デメリットを把握したうえで導入の検討を

NTT東日本・西日本より「2024年1月より固定電話からの発信が全てIP網になる」という発表がなされました。

お使いの固定電話はそのまま利用できますが、この機会にIP電話への移行もぜひ検討してみましょう。